スポーツに限らず、どんなものでも『上達』を目指すなら目標を設定することと、それらを達成するためにどのような道のりを歩んでいくかを試行錯誤することは欠かせません。
ことサッカーにおいても正しい目標設定とその前後の計画は非常に重要です。
今日は目標設定について考えていきます。
目標設定
目標設定
いうならば個人もしくはグループがどこに向かっているのかの方向性の設定です。
「人生は登山のようなもの」という言葉もありますが、今の登っている山が富士山なのかエベレストなのかで用意するものも気持ちの準備も変わってきます。
より安全でより確率高く登山を成功させるために山の選択は重要です。
それと同じように最高のパフォーマンスを発揮し、より良い結果を出すためには良い目標設定が必要です。
正しい目標設定とは?
人は目標を設定すると、それを達成しようとパフォーマンスが上がっていくことがわかっています。
目標設定する上での考えるポイントは。
①「難易度」
②「具体性」
③「長期目標と短期目標を考える」
④「個人目標で終わらない」
⑤「結果目標に偏らない」の5点です
1つづつ見ていきましょう。
難易度
最適な難易度は現状の結果から110%程度の目標設定が最適と言われています。
例えば50kgのベンチプレスの重量挙げができる選手は55kgの目標が最適であり、100kgの重量挙げが可能な選手には110kgの目標設定が最適であると言うことです。
今50kgまでの重量挙げか可能な選手が110kgの目標設定をしてしまうと、途方もない道のりを前にモチベーションの維持が難しくなってしまいます。
つまり「いつ達成できるの?」「本当にできるの?」という設定値ではなく、ゴールが見えている状態の方が精神的な面でも維持増進が可能です。
途方もなく遠くにある1つの目的地ではなく、そこまでの見える道のりに1つづつ目標を配置し、達成の喜びと共に、遠くまで進んでいきましょう。
具体性
先ほどの例にあげた重量上げの選手が「頑張って重りをあげる」と言うような目標を設定した場合と「○日で今の重量よりも+○kgあげられるようにする」のような具体性のある目標を設定した場合、どちらの方がよりパフォーマンスを上げて成長できるでしょうか?
なんとなく答えは分かりますよね
曖昧な目標設定と違い、具体的な目標設定があった場合、その結果が達成か不達成だったかを明確にすることになります。
つまり反省と改善につなげることができるわけです。
成長するために必要なことは「より良く変えていくこと」以外にありません。
そのためにも具体的な目標設定も作っておきましょう。
長期目標と短期目標
サッカーをプレーまたは指導していると「ゴールから逆算して考えろ」と言われます。
もしかしたら学校や職場でも聞く言葉かもしれません。
目標を設定する場合、必ず最終目標から考えます。
1年後どうなっていたいですか?
半年後どうなっていたいですか?
3ヶ月後どうなっていたいですか?
1ヶ月後どうなっていたいですか?
長期目標の設定から短期目標の配置。
上でも書かせてもらいましたが、途方もなく遠い目標だけではモチベーションの維持が困難です。
1段ずつ登っていけるような階段設計を意識して目標を決めましょう。
個人目標で終わらない
ご存知の通りサッカーはスポーツです。
1人の突出した選手がいるだけで勝てるほど甘くはありません。
難易度の設定、具体性、長期目標と短期目標。上であげたものを意識してチームでの目標も設定しましょう。
ここで重要なことは1人で決めないことです。
意見を聞き、反省点を導き出し、誰もが自分ごとのように考えることが重要で、ここでのコミュニケーションの1歩目を進めるためには指導者側の促しが必要不可欠です。
チーム目標は見えるとろに掲示したり宣言し、意識付けることもいいかもしれません
結果目標に偏らない
プロフェッショナルな選手の目標設定において重要なことは結果です。
金銭や権利も絡んでくる環境において「自分の成長が〜」と1番に言うことはできません。
では育成の目標設定は?
育成年代の子どもたちにとって、全国大会での優勝や目の前の試合での勝利という結果は目標まで1つ瞬間に過ぎません。もちろんそれを度外視する必要もありませんが、失敗も含めた経験の積み上げが一番重要です。
チームにおいては、成長の差が大きい育成年代で結果に偏ってしまうとただ速い選手、ただ大きい選手ばかりが増えてしまうことになりかねません。
目的は勝利でも目標は過程でなくてはいけません。
正しい目標設定をサッカー育成年代に落とし込む
育成年代指導において大事なことはいくつかありますが、個人的に大事にしていることは
・「サッカーというスポーツの原理原則を学ぶこと」
・「未来につなげること」
・「サッカーを楽しむこと」
・「結果至上主義にならないこと」の4点です
これらを踏まえると……
①難易度
→挑戦的で楽しんで継続できるレベル設定。
困難すぎる目標はモチベーションの低下を招き、継続が困難になってしまう。
②具体性
→「いつまでに〇〇できるようにする」などんように具体的な目標を立てる。
例:放課後20分リフティングの練習を行い4月までにリフティング100回を目指す。
例:毎週水曜日は陸上トラックを10周走って、半年後の体力測定で昨年の記録より〇秒タイムを縮める。
③長期目標と短期目標を考える
→長期目標だけだと達成まで成功体験がつめず、続けることが難しくなる。
短期目標だけだと行っている練習の目的が分からなくなる。
④個人目標で終わらない
サッカーはチームスポーツ。
→個人だけでなくチームでの目標をしっかりと意識し、チームに根付かせひとりひとりが自分ごとのように捉えることが重要。
⑤結果目標に偏らない
→育成年代の間に得られる結果はあくまで長い成長過程の中の蓄積のひとつに過ぎません。
「勝利」や「優勝」という2文字は大事ですが、それが全てではないことを指導者は理解し。子どもたちに指導しなければなりません。
まとめ
そのチームのパフォーマンスを最高のものにするために、最良の目標と日々の修正改善が不可欠です。そして、育成年代においては継続性や漸進性、モチベーション維持のために「楽しむ」という要素も忘れてはいけません。
「なぜサッカーを始めたのか」
「なぜ個人練習を行うのか」
「なぜこのチームで努力するのか」
それを忘れないような活動を実施することが重要です。
そして指導者の一番の責務はこの活動のサポートなのです。