「嫌われ勇気」という本をご存知ですか?
知っているかどうかで聞くと「知っている」と答える人は多いと思いますが、「読んだことがある」と答える方は意外と少ないのではないでしょうか?
僕自身も、数年前から知ってはいましたが読んだことのない人の1人でした。
今回読んだきっかけも、自ら選び取って買ったのではなく、後輩がたまたま読んでいたのを借りて読んだにすぎませんが、良書の1つであることは間違い無いので僕の感想も含めて上手くシェア出来たらと思います。
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岸見一郎/古賀史健 ダイヤモンド社 2013年12月13日頃
トラウマの否定
ページをめくってまず驚く内容が「トラウマなんて存在しない」という文言。
過去の影響が今この瞬間に影響するという一般的な考え方を真っ向から否定しています。
本書内では「不安だから外に出られない引きこもりの友人」が例に出されています。
「過去のトラウマが原因になり不安感から引きこもりになってしまった」というのが一般論です。
ですがここでは全く逆の回答が述べられています。
ご友人は「不安だから外に出られない」のではありません。順番は逆で「外に出たくないから、不安という感情をつくり出している」と考えるのです。
つまり
「不安」という感情があるから引きこもっているのではなく、「引きこもりたい」という目的の意味付けとして「不安」を生み出し利用しているに過ぎないということ。
その目的に満足しているかどうかは置いておくとして、変化ではなく現状維持を望んでいる自分が確かに存在していることを認めなければなりません。
誰でも変われる
もしもあなたが「過去があって今がある」という原因論者であるならば変わることは難しい。ですが「幸福とは自ら選び取るもので、不幸であることも自ら選んだもの」という考えを持てれば誰でも変わることができるということ。
本書曰く
「これまでの過去に何があったとしても、これからの未来には関係がない」
つまり、過去のせいで不幸になったなんてありえないし、変わる勇気さえ持てば誰でも幸せになれる。
今からでも変われます。
全ての悩みは対人関係に集約される
全ての悩みは対人関係から来るもので、個人の悩みは存在しないと言います。
なぜか
個人の悩みの発生の根幹にあるのは他人との比較であり、「他者との関係の中で傷つかないようにする」為に自分の悩みを作り出しているのだそうです。
また、自分の中に嫌いになる理由を見つけておけば、仮に他者に嫌われても理由づけができ楽になれます。
ただ間違えてはいけないのは劣等感は存在するということ。
これはネガティブな意味合いで使われる劣等コンプレックスとは違い、「劣等感」または「謙虚さ」と言い換えて良いかもしれません。それは「他人との比較」ではなく「理想の自分との比較」から発生し、優越性や成長への追求につながります。
劣等感を履き違え、言い訳に使ってしまうと「劣等コンプレックス」に変わり、逆感情にいけば「優越コンプレックス」や「不幸自慢」といったものに成り下がります。
いい意味での劣等感とは自己成長のためのものです。
他者の課題を切り捨てる
全ての悩みが人間関係であることが分かった上で、それらを乗り越え解決するためにどうしていけば良いのか。立ち向かうための勇気とは何なのか。
それを知るためには他者の課題を切り捨てるという考え方が解決の糸口になります。
まず前提として、人は他人の期待を満たすために生きているのではないということを理解しておかなければなりません。
違う言葉を使うのならば「承認欲求のために生きているのではない」ということで、これを全否定する人の最終的に行き着く先は「承認されなければ行動しない」という考え方です。
これは間違っていますよね?
「あなたを承認してあげる」というのは言わば他人の課題です。
あなたがその人を信頼するのは構いませんが答えてくれるのか認めてくれるのかは、あなたの課題ではありません。
上司のために仕事をしたとして、その結果が評価されようがされまいがあなたの課題ではない上、他人を変えるのなんてほぼ不可能なのですから、そんなことに一喜一憂すること自体が無意味。
他人の課題に介入せず、自分の課題に介入させない。
これがこの複雑な世界をシンプルに生きやすくしていく方法であり、様々なコンプレックスに立ち向かったり避けたりする方法なのです。
そして、この考え方を実行するためには勇気が必要です。
「他人の評価を気にせず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないという中で自分の生き方を貫く」自由に生きる勇気を持ちましょう。
「瞬間」を真剣に生きる
先ほど、「自由に生きる勇気を持つこと」を説明しました。そして最初に「これまでの過去は関係ない」という話もさせてもらいました。
「過去があって今がある」という原因論を否定し、「過去も未来も関係ない」という目的論を肯定できれば、人生がマラソンのような線のつながりではなく、点の積み重ねであることが理解できると思います。
詰まるところ、「今」という瞬間を生きているのです。
そしてこの瞬間を充実させるには、自分の課題に全力で立ち向かうこと。
他人の邪魔を避け、自分の課題に立ち向かう方法は上で書きました。
「勇気を持って生きる」これしかありません。
懸命にいきた瞬間を積み重ねた先に幸福な人生が存在します。
感想
本書で紹介されているアドラー心理学は心理学者のアルフレッド・アドラーが提唱したものです。著者は堅苦しい心理学書とは違いシンプルで痛快にこの複雑化した社会の生きる方法を書かれています。
対話形式になっているのも相まって思っていた以上に読みやすく数時間で読み終えることができました。
ここでは、個人的に重要なポイントを端折りながらまとめさせてもらっています。
他の人が読めば、違う解釈の仕方もあると思います。
興味の湧いた方は是非手にとって見てください。
違う意見感想がある方は是非コメントして見てください。
このブログを読んでどのように評価してくれようと構いません。批判するのも称賛するのもあなたの課題です。
その時はきっと、ただ純粋に受け止めて、その瞬間懸命に執筆していると思います。
ありがとうございました。
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岸見一郎/古賀史健 ダイヤモンド社 2013年12月13日頃